movie_med_girl’s blog

映画や小説の感想を書いていきます。

映画の感想「明け方の若者たち」

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画像は「明け方の若者たち」公式HP (http://akegata-movie.com)より

 

Amazon Primeで配信が開始された映画、「明け方の若者たち」を観た。

 

主演は北村匠海さんで、黒島結菜さんが主人公の彼女、井上祐貴さんんが主人公の友人を演じている。

予告編などから感じた、観る前の作品に対する印象としては、「花束みたいな恋をした」とか、「ちょっと思い出しただけ」に近く、エモさ・切なさ・儚さ、みたいなものがあった。

実際に、流行りの俳優さんを起用している点、印象的な場所を舞台にしている点(本作では下北沢)など、似ている部分は多かった。

 

花束〜などの作品が好きだった人、それらの作品を観た後の余韻が心地良かった人、は本作も観てみても良い、と思う。

特に二人が出合う場面やデートを重ねる場面は、キラキラしていて、美しくて、終わりを想像するだけで切なくなった。

また、本作では主人公とその友人の男同士の友情や、新卒で社会にでた主人公たちの戸惑いや、葛藤なども描かれている。

これらの点は本作の魅力であると思う。

 

ただし、本作は花束〜とは明確な違いがあり、それは作品の後半で明かされる。

その点にがっかりする可能性もある、ということは伝えておきたい。

 

まだ本作を観ていない方は、ここまでの感想を参考に、観るかどうか決めてほしい。

繰り返しになるが、個人的に好きな作品ではあるが、全員におすすめできる、花束〜を超えてくる!という作品ではない、ということを伝えておく。

 

ここからはネタバレを含めた感想。

 

 

 

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本作の、花束〜などとの明確な違いは、黒島結菜演じる彼女に、夫がいる点だろう。

 

映画の序盤に描かれる二人の恋愛は、キラキラしていて、美しく見えた。

 

黒島結菜の誘い方は、本当にズルかったし、

院生で知的な雰囲気を持っていて、年上の女性として僕をリードしてくれる。

それでいて、よく喋り、よく笑い、可愛らしくも見える彼女は、本当に魅力的だった。

 

そんな彼女と、まっすぐで少し不器用そうな僕が惹かれあっていく様子は、とても美しかった。

このあたりの二人の演技や描き方は、素晴らしかったと思う。恋愛映画において、どこが好きになったの?と思ってしまうと作品に入り込めないのだが、本作では二人がとても魅力的に見えたし、作品にすっと入り込めた。

 

けれど、そんな二人の恋は、純愛ではなかった。

 

秘密が明かされた時、「ああ、」と思った。違和感の謎は解けたが、それでもなお彼女に惹かれてしまう僕の気持ちもわかる気がしたし、それが許されない、終わりが来るべきものだということもわかる気がした。

僕の方はともかく、彼女は、今の夫との関係を壊してまで僕と一緒になりたいわけではなかったのだ、というのがすぐに伝わった。

 

秘密が明かされた後の二人については、スピンオフも観たので、その感想の方に詳しく書こうと思う。

 

もう一つ、本作の魅力として、主人公と親友である尚人との、男同士の友情をあげたい。

尚人は仕事ができて、大きな夢を持っていて、かっこよくて、しかも遊んでいて楽しい、面白いやつだ。

主人公が彼を好きになる気持ちはわかる気がした。

そして尚人が主人公を好きになる気持ちもわかる気がする。

一見、尚人は仕事ができてハキハキしていて、主人公は彼と比べるとパッとしない感じがする。

けれど彼は、主人公の真っ直ぐなところに惹かれていたのではないだろうか。

主人公はなんやかんや与えられた仕事を懸命にこなしていたし、きっと、彼女との恋愛にも一生懸命になっていたのだろう。

彼は、その恋が最終的には上手くいかないとずっと思いながらも、不器用なりに真っ直ぐに、一生懸命に頑張る主人公をずっと見守っていたのだと思う。

事故が起きて社員が指を切断してしまうというショッキングな場面では、いつも仕事のできる親友ではなく、主人公の方が、恐怖を感じながらも現場へ向かっていた。

なんとなくだけど、親友はその時の主人公を見て、彼をリスペクトする、好きだと思う気持ちと同時に、少し自信を失って、転職を考えたのではないかという気がした。

そんな二人の、お互いを心の中ではリスペクトしていて、けれどそれを表面に出すわけではない、一緒にバカもやれるような純粋な友情はとても素敵だな、と思った。

 

また、もう一人の友人と3人で風俗に行こうと盛り上がるくだりは、馬鹿馬鹿しく感じながらも、女性の私からすると憧れで、羨ましくもあった。

バカみたいなノリから始まったのが、最終的には気持ちをさらけ出して泣いてしまう一連のシーンはかなり印象に残った。

 

まだまだ書くことはありそうだが、ここで一旦終わりにしようと思う。

ネタバレを避けた感想では、そこまで好きな作品ではないような書き方をしたが、振り返ってみると、印象的な、好きなシーンも多かった気がする。

自分が社会で壁にぶつかったり、失恋したり、不倫をしたりした時にはまた、この映画を観たいと思う。

感じ方がどのように変わるのか、怖くもあるし、楽しでもある。

 

なんやかんや、こういう「エモい」(なんでもかんでもエモい、とかいうのは本当はキライ)とされる映画を観た後に余韻に浸る時間が、私は好きだ。

 

今回はハイボールを飲みながら余韻に浸ってしまった。

同じように余韻に浸っている、他の人の感想が聞きたい人なんかに、私の感想が読んでもらえていたら、本当に幸せだな〜と思います。

読んでくれた方、本当にありがとうございました。