movie_med_girl’s blog

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映画の感想 「空白」

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Netflixで鑑賞。

ずっと気になってた作品。やっぱり邦画はこういう、少し闇があるような、暗い気持ちになるような作品が好きだし、いい作品が多い気がする。

古田新太さん、松坂桃李さんなど、出演者の演技はとても素晴らしく、だからこそ観ていて苦しくなる作品だった。


私はこの作品を観て、「人はみんなそれぞれダメな部分があって、それぞれの辛さがあって、それぞれに頑張っている。」ということを最も強く感じた。

父親、店長、娘、轢いてしまった女の人…出てきた全ての人にダメな部分、弱い部分があったように思う。

けれど、みんなわざと悪いことをしているわけではないし、懸命に生きている。

映画が直接伝えてくれるのはあくまでそこまでで、それを踏まえて視聴者がどう生きるべきなのかは、答えを示してくれなかった。

ただ、そんな中でも一つ明確に感じられたのは、「各々の辛さを負った人々が、他人のちょっとした行動、ちょっとした一言で助けられている」ということだ。

映画の中で、松坂桃李演じる店長が最後にスーパーの焼き鳥弁当を褒められるシーンは、特にそれを強調したシーンだと思う。あのシーンで、店長は確かに他人の一言で救われた。

しかし、その一言は店長を助けようという明確な意図を持って発されたものではなかった。

これをどう捉えるかも人によって個人差があると思う。私は、「思ったことを伝えれば、気づかないうちに誰かを救っていることもある」と解釈した。

けれど、思ったことを伝えることが、気づかないうちに誰かを傷つけていることも確かにある、と私は実生活を振り返って思う。

だから、このシーンをみて、「思っていることはどんどん伝えよう!!」という結論には至れない。

結局この映画からなにか明確な人生の教訓を得ることは私には難しかった。

それでも、今後の人生で何かがあったときに、この映画を観たことがプラスになることは、きっとあると思う。

なんとも歯切れの悪い感想にはなるが、「観て感じることはとても多いが、明確な答えには辿り着けない」そんな映画だと、私は感じた。